突然ですが、私の同僚の話を一つ。
事業所に利用者から「お宅の職員に学歴差別をする人がいる!」と怒り心頭な電話がかかってきた事があります。結論としては、情報収集で生い立ち確認をしていた際、利用者自身がコンプレックスに感じていた「学歴」に触れてしまったために起こった騒動です。
この記事は現場で介護を行う介護士に向けたプライバシーの保護の必要性について解説します。意外な落とし穴がある事を介護歴15年の私が紹介します。
この記事を見て頂き、あなた自身と利用者、その家族などのプライバシーについて考え直すきっかけになればうれしいです。早速3つの大切なことについてから。
結論!現場介護士に必要なプライバシーを保護するための3つのこと!
1.なぜ情報収集が必要なのか、利用者やその家族に対して目的を明確に伝える!
2.一人ひとりの尊厳に合わせた対応をする!
3.プライバシーの保護に関する意識改革を徹底する!
う〜ん…いまいちピンと来ないな…。もうちょっと詳しく教えてもらえない?
詳しく解説するから、まかせて!
なぜ情報収集(アセスメント)が必要なのか、利用者やその家族に対して目的を明確に伝える!
あれこれ情報収集を行う前に目的を伝えましょう。目的が伝わっていないと「なぜ根掘り葉掘り聞かれるのか?」と不信感を抱かれてしまうことがあります。特に、生い立ちや学歴など、利用者本人がコンプレックスと感じている部分には配慮が必要です。
最適な支援を提供するために情報収集を行っていることを明確に伝えましょう。
一人ひとりの尊厳に合わせた対応をする!
「雑に扱われた」と感じ取られてしまうと精神的な苦痛やプライドを傷つけてしまうことになりかねません。これはプライバシーの侵害にあたります。
一人ひとりに合わせた支援を提供することで利用者に満足度や安全を守ることに合わせ、プライバシーを守る事に繋がります。利用者それぞれの気持ちに合わせた支援を提供していれば、必要以上にプライバそーを侵してしまうことはないでしょう。
プライバシーの保護に関する意識改革を徹底する!
関わる介護士一人ひとりの意識が高まれば、プライバシーや情報漏えいに関するトラブルは少なくなっていくでしょう。介護の業界全体が意識を高める必要があるでしょう。私のブログでも定期的に発信することで貢献していきたいと考えています。
そもそも…プライバシーとは?
封筒で例えると、裏面等の記載される個人名や住所などは【個人情報】にあたります。
対して、封筒の中身である文章やメッセージといった内容が【プライバシー】に該当します。
定義としては、下記の通りです。
本人の氏名、生年月日、住所などの記述等により特定の個人を識別できる情報のことです。
「個人や家庭内の私事・私生活。個人の秘密。また、それが他人から干渉・侵害を受けない権利。」(小学館「大辞泉」より)という意味があるほか、最近では、「自己の情報をコントロールできる権利」という意味も含めて用いられることがあります。
参照:プライバシーマーク制度
介護士として知っておくべきプライバシーに関する法律2つ
【個人情報保護法】
氏名や性別、生年月日、住所などの情報は、個人のプライバシーに関わる大切な情報です。一方、それらの情報を活用することで、行政や医療、ビジネスなど様々な分野において、サービスの向上や業務の効率化が図られるという側面もあります。
そこで、個人情報の有用性に配慮しながら、個人の権利や利益を守ることを目的とした「個人情報保護法」(正式名称:個人情報の保護に関する法律)が平成15年(2003年)5月に制定され、平成17年(2005年)4月に全面施行されました。
参照:政府広報オンライン
【社会福祉士及び介護福祉士法】
第四十六条
社会福祉士又は介護福祉士は、正当な理由がなく、その業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならない
こちらの社会福祉士及び介護福祉士法には罰則も含まれていますので、注意が必要です。
介護士がやってはいけないプライバシー侵害の7つの例
提供する支援に不必要な立ち入りすぎた質問。興味本位で聞き取りすることは控えておくべき。
悪意のある人物がSNS上の書き込み及び文章を悪用することが考えられます。許可を得ずにSNS等に画像やエピソードを掲載することは控えましょう。
家族と名乗る者、関わりの少ない遠方に住む親戚など、関係の薄い家族や親族からの利用者に関する問い合わせに介護士判断で返答することは危険です。
こういった場合、利用や主介護者に直接聞きにくい、関係が良くないため介護事業所に問い合わせて聞き出すというケースもあります。関係性の薄い肉親からの問い合わせには勇気をもって「お答えできません。」と返答しましょう。
許可があったとしても、個人的な手紙など見られる事は恥ずかしいです。自分宛てのメールやLINEを他者に見られる事が嫌だと感じることと一緒です。
第三者に個人情報が漏えいする状態にしてしまっている=プライバシーの侵害です。難しいことではありません。トイレに入ったらドアを閉めるのと一緒です。
飲み屋、立ち話で利用者やその家族の話をしていませんか?どこで誰がその話を聞いているかわかりません。本当に気をつけてください。
利用者のプライドや羞恥心に配慮して支援を行えば問題ありません。人の気持ちに配慮しましょう。
最後にまとめ
誠心誠意をもって対応しよう!
その都度説明すること、あなたの支援への姿勢を誰よりも見ているのは利用者やその家族です。あなたの意識や言動に誠心誠意があるため、利用者やその家族はあなたを信頼するのでしょう。
信頼のある良い関係性が構築されることで、プライバシーといった問題発生を抑えることができるでしょう。
利用者や家族の気持ちを考えてみよう!
「相手の気持ちを考えなさい。」このフレーズ、子供の頃に良く言われませんでしたか?この言葉につきるでしょう。思いやる気持ちがあれば、プライバシー侵害問題の発生は少なくなるでしょう。
意識的に行動をコントロールしよう!
事業所内で話す時間がなかった、どうしてもゆっくりお茶をしながら話がしたい、などといった場合、利用者が特定されないよう配慮して話す必要があります。
「あなたの担当のや○ださん」といった形で特定が出来ないよう配慮しましょう。本来であれば、誰に聞かれるかわからない状況で話をすることは危険で避けるべきですが、みなさんのストレスや不満を多少なりともわかります。絶対に辞めろとは言い切れないので、意識してコントロールして下さい。笑
みなさんの参考になれば幸いです。
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